診療案内Medical Care
過敏性腸症候群Irritable Bowel Syndrome
過敏性腸症候群とは
腹痛、下痢、便秘といった症状が続く病気でIBS(irritable bowel syndrome)とも言い、主として大腸の運動、知覚および分泌機能の異常で起こる疾患です。検査をしても異常が認められないのに、外出先などで緊張などをきっかけに強い腹痛がおそってきたり、下痢になって排便すると症状が治まったり、便秘による不快感が続いたりという症状が長期に続きます。若い年代を中心に発症が見られ、10人に1人以上の方がかかっていると言われております。原因はいまだ解明されていない点も多いですが、消化管の知覚過敏や精神的なストレスなどが組み合わさり、また感染性腸炎後にも起こりうることがわかってきています。
過敏性腸症候群の診断・症状
過敏性腸症候群の診断には自覚症状に基づいて診断するRome IV基準が国際的に用いられています。腹痛が最近3ヶ月の間、1週間につき少なくとも1日以上を占め下記の2項目以上の特徴を示す場合に過敏性腸症候群と診断します。 (1)排便に関連する (2)排便頻度の変化に関連する (3)便形状(外観)の変化に関連する 過敏性腸症候群の症状はRome IV基準で下痢が症状の特徴である下痢型、便秘を主な症状とする便秘型、便秘と下痢を繰り返す混合型、そのどれにも分類できない分類不能型に分けられています。
過敏性腸症候群の検査
過敏性腸症候群以外にも腹痛、下痢、便秘などを来す大腸の病気は数多くありますので、大腸内視鏡検査などを行い他の原因疾患(様々な腸炎や大腸がんなど)がないことを確認した上で過敏性腸症候群と診断します。 当院では鎮痛剤、CO2送気を使用した患者様の苦痛に配慮した大腸内視鏡検査、またプライバシーに配慮し前処置の個室を完備しております。
大腸内視鏡検査について過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群は生活習慣、精神的なストレスが症状の増悪に関与していると言われておりますので、それらを改善することが症状の緩和につながります。それらに加え症状、病型に合わせた適切な薬物療法を行っていくことが必要です。
非薬物療法
食事は大事で、偏った食事、夜遅くに食事をしたりする習慣を改善する必要があります。また食物繊維は大事で、どのタイプでも適切な量を摂取することが勧められます。アルコールやカフェインなどは控えめにします。水分摂取も欠かせないため、たっぷり摂るようにしましょう。 また適度の運動をすることにより腸の動きを整えたり、ストレスの解消にもつながります。
薬物療法
診断した病型に合わせ、適切な薬を処方していきます。具体的には下痢型には5-HT3拮抗薬、止痢薬などを、便秘型には下剤、粘膜上皮機能改善薬などを、混合型や分類不能型には消化管機能改善薬や抗コリン薬などを使用します。また型によらずプロバイオティクスや高分子重合体などは有効です。 それらの薬の作用が乏しい場合やうつ症状、不安症状が強い場合などは抗不安薬や抗うつ薬などを使用していきます。